自然免疫と獲得免疫

新型コロナウイルス感染症に関するこの記事を読んで、「なるほど、そうだな!」と膝を打った。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200516-00178807/
免疫学者、宮坂昌之氏のインタビュー記事である。


私が注目したのはこの部分。
『ただし注意すべきなのは、この場合、一般的には「免疫」とは抗体ができることを指していて、「獲得免疫」のことであるというのが暗黙の了解となっています。
しかし、個体レベルではウイルスに対する防御は2段構えであって、自然免疫と獲得免疫がウイルス排除に関与します。 』


新型コロナウイルスについては
「感染した人の何割かは十分な抗体を持っていない」
「T細胞に障害を与えるという点でエイズウイルスと似ている」
といった情報を見るたびに
「なんとも厄介な病気だ。良いワクチンなど出来るのだろうか。
免疫システムに障害を与える病原体となると、感染予防は結構難しそうだから
こうなったら良い治療法が確立ことに期待するしかないか?」
などとあれやこれや思いを巡らせていたのだが、
よく考えたら、宮坂氏の言うとおり、
我々の免疫システムは「抗体」すなわち獲得免疫が全てではない。
自然免疫があるじゃないか。
こっちがバリバリなら、獲得免疫のシステムが動き出すまでもなくウイルスを排除出来る。


「自然」というと通常「人工」という言葉と対比して使われることが多いが
この場合、「抗原の侵入によって後に獲得される免疫」
に対して、「元々備わっている免疫」という意味で使われる。

 

自然免疫とは具体的に何かというと、
代表的なのは白血球のうち、貪食能を持つ細胞。
マクロファージとか、顆粒球とか。
ナチュラルキラー細胞なんかも自然免疫に含まれる。
それ以外にも、例えば皮膚。
表皮の一番外側にある角質層を構成するケラチンという物質は、
物理的に身を守るだけでなく
各種のサイトカイン(免疫に関わる物質)を分泌している。
また、汗の中には加水分解酵素が含まれていて、様々な異物を分解できる。
あるいは腸上皮。
腸上皮も加水分解酵素を分泌する。
また、補体やインターフェロンと呼ばれる免疫物質を作る力も持っている。
補体は肝臓でも作られる。
皮膚と腸上皮に住み着いている常在菌も、重要な免疫因子だ。


まあ、こんなふうに、「獲得免疫」のシステムが動き出す前の段階にも
いろんな免疫システムがある。頼もしいじゃないか。
今のところ、コロナウイルスによって障害を受ける可能性が示唆されているのは
「獲得免疫」のシステムだけだから、
とりあえずそれ以外のシステムが元気に働けるようにしておこう。


ということで、よく巷で言われているように
「コロナ対策のために納豆その他の発酵食品を食べて腸内環境を良くしよう」とか
「暴飲暴食は控えて、睡眠を良く取って、適度に身体を動かそう」
というような生活習慣が
この「自然免疫をバリバリにしておく」という意味でもとても効果的なので
結局のところ、やっぱりそれが一番大事だな、という
全然新しくない結論に達した。