ただ、意識を向ける

人の身体に触っていると、大小様々の硬結(しこり)に触れることがよくある。

手を当てていると、小さいものなら氷が溶けるように消えていく。

かかる時間は時と場合によるが、範囲の広いもの、あるいは頑固なものでも

手を当てていると緩んで柔らかくなってくることが多い。

 

 

いわゆる野口整体では、この、手を当ててそこに意識を集中する行為を

愉気(ゆき)」と呼ぶ。創始者野口晴哉の作った言葉である。

野口晴哉の著書の中には愉気についての説明がいくつもあるが

例えば「愉気法2」という著書の中では以下のように説明している。

愉気というのは、人間が心を一つに集める。注意を或る処に集めると、

注意の集まらない処と全然違ったはたらきをするのです。」

 

 

このことは、「物質が観測の影響を受ける」という量子論の基本とも共通する。

実際、愉気をしていると骨のような固い物質でも容易に変化することがある。

 

 

野口整体では、愉気をするための訓練方法なども学ぶし、

それは突き詰めればとても奥深い世界で、やる人によってその質も

起こる結果もかなり差があることは確かだ。

自分がやるのは難しいと感じる人もいるだろう。

 

 

だけど、あなたがもし、今よりもっと健やかな身体になりたいという

気持ちを持っているのなら、まずはただ「身体に意識を向ける」

というところから始めてみるのはどうだろう。

多くの人が、頭の中で何かを感じ、考えることばかりに意識を向けがちだ。

その意識を、身体に向けてみる。

あなたのお腹は、あなたの胸は、あなたのみぞおちは、今どんな感じか。

重いか軽いか。ほんのかすかでも痛みはないか。もやもやしてるかすっきりしてるか。

呼吸をしながら、ただ感じてみる。

 

 

あるいは、一日の終わりに一言でいいから声をかけてみよう。

例えば「今日も一日ありがとう。ゆっくり休んでね。」とか。

その時だけでも意識が身体に向くだろう。

今までほとんど身体に意識が向いていない人だったら

それだけでも習慣になれば、身体に起こる変化は結構大きいはずだ。

 

 

ただ「意識を向ける」。

大げさに聞こえるかもしれないが、

それは愛を表現することの第一歩だと、私は思っているのである。

この一歩は大きい。

 

 

ちなみに、冒頭の、「しこりに手を当てると溶けて消えていく」というのは

心にも同じことが言える。

長くなってしまったので、そのことはまたいつか別の機会に。